脳腫瘍とは

脳腫瘍のイメージ写真

頭蓋骨の内側に発生した腫瘍を総称して脳腫瘍と言い、これは良性も悪性も含まれます。
なお脳腫瘍は、大きく頭蓋内の組織から発生する原発性脳腫瘍と他の臓器から発生した腫瘍(がん)が血流によって運ばれて頭蓋内で発症する転移性脳腫瘍の2つに分けられます。
さらに原発性脳腫瘍は、脳実質内腫瘍(脳自体から発生する腫瘍)と脳実質外腫瘍(脳神経、髄膜、脳下垂体から発生する腫瘍)に分けられますが、脳実質内腫瘍は悪性が多く、脳実質外腫瘍は良性が多いという特徴もあります。

原発性脳腫瘍は全部で130種類ほどあると言われていますが、その中でも発生頻度が高いとされているのが、脳実質内腫瘍で神経膠細胞から発生する神経膠腫(グリオーマ)です。これは原発性脳腫瘍の30%程度を占めると言われています。
なお神経膠腫には星細胞腫などいくつか種類があり、悪性度が最も高くて治療が困難とされる膠芽腫を発症する割合は3分の1程度と言われています。
神経膠腫に次いで多いのが髄膜腫で、ほかにも脳実質外腫瘍の下垂体腺腫、聴神経の神経膠腫などもみられます。
上記で挙げた脳腫瘍で全体の80%程度になります。また原発性脳腫瘍が他の臓器に転移することはほとんどないとされていますが、肺がん、乳がん、消化器がん(大腸がん 等)などが脳に転移することはあります(転移性脳腫瘍)。

なお脳腫瘍が発生したことで見られやすい症状ですが、腫瘍の発生によって頭蓋内部の圧力が高まる頭蓋内圧亢進症状と腫瘍の発生部位に脳の機能障害が起きることでみられる症状(局所症状)というのがあります。
前者の場合は頭痛や吐き気、意識障害などが現れるようになります。
後者では生じた部位で異なりますが、手足が動かしにくい、話しにくい(言語障害)、耳が聞こえづらい、けいれんといった症状がみられるようになります。

上記のような自覚症状があれば早めにご受診されることをお勧めします。
検査が必要と医師が判断すれば、主に頭部CT、頭部MRIなどの画像検査を行い、腫瘍の発生部位や大きさなどを確認していきます。

治療について

良性の腫瘍で、これといった症状がないという場合は経過観察となります。
悪性腫瘍や良性でも症状が強く出ているといったことから、取り除く必要があると医師が判断した場合に外科手術、放射線療法、化学療法(抗がん剤による経口投与、静脈注射、局所投与)を行っていきます。

最も有効とされるのは開頭(頭蓋骨を切る)によって腫瘍を全摘出することですが、発生部位によっては切除が困難なこともあります。
このような場合に放射線療法や化学療法が用いられます。