眼瞼痙攣とは

眼瞼痙攣のイメージ写真

眼瞼痙攣は、間代性・強直性の攣縮が両側の眼輪筋に不随意に反復出現する病態です。
発症は下眼瞼部のピクピク感から始まり、次第に上眼瞼部に進行し、重症例では開瞼障害を来して機能的な失明状態に至ります。進行は緩徐ですが、自然軽快はまれです。
本態性の眼瞼痙攣は、局所性ジストニアに分類され、他のジストニアと同様に、大脳基底核を含む運動制御システムの機能障害によって生じると考えられています。
その他、パーキンソン病などにみられる症候性、向精神薬などの投与後にみられる薬物性の眼瞼痙攣があります。
特に40~60歳代の中高齢者で発症率が高く、男女比は1:2~3と女性に多くみられます。

症状について

眼瞼痙攣の初期症状としては、眼瞼の刺激感・不快感、羞明や瞬目過多などがあります。症状が進行すると、眼瞼が頻繁に攣縮し、さらに進行すると随意的開瞼ができず、視力異常がなくても機能的に失明状態に至ります。
精神緊張の影響を受けることも多く、緊張で増悪する例がある一方、日常では重症であるのに診察室では無症状という例もみられます。
症状は通常、両側対称性ですが、軽度の左右差が認められることも少なくありません。

眼瞼痙攣の治療について

眼瞼痙攣の治療では、ボツリヌス療法、内服療法が行われています。

ボツリヌス療法

攣縮している筋にボツリヌス毒素製剤を注射します。ボツリヌス毒素製剤は神経筋接合部で神経終末に作用し、アセチルコリンの放出を抑制します。これにより、アセチルコリンを介した筋収縮が阻害され、筋の攣縮および緊張を改善します。この作用によって、眼瞼痙攣を抑制します。個人差はありますが、通常1回の施注で約3~4ヵ月効果が持続します。

内服療法

抗てんかん薬、抗コリン薬、抗不安薬、抗痙縮薬、選択的セロトニン再取り込み阻害薬などを内服する治療法があります。

片側顔面痙攣とは

片側顔面痙攣は、顔面神経の被刺激性亢進により、顔面筋が発作性、反復性かつ不随意に攣縮する病態です。
発症原因は、顔面神経が脳幹から出る部分で、延長・蛇行した動脈によって圧迫されるために起こることが多いと考えられています。

症状について

通常、攣縮は下眼瞼または上眼瞼に始まり、進行すると眼輪筋の他部位あるいは口輪筋など他の顔面筋が侵されます。重症例では攣縮は持続性となります。
中年女性に多く、左側面にやや多くみられます。同側顔面筋の攣縮は同期的で、速く、軽症では時折生じる程度ですが、しばしば群発する傾向を持っており、持続性攣縮を頻繁に生じる例もあります。
重症化すると、特に若い女性ではうつ状態に陥る傾向があります。
また、原則的に睡眠中でも持続します。

片側顔面痙攣の治療について

片側顔面痙攣は生命に支障をきたす疾患ではなく、機能的な疾患なので患者さん自身の痙攣を止めたいという希望がある場合に、はじめて治療となります。
治療法にはボツリヌス療法、向精神薬や抗てんかん薬などの内服療法、手術などがあります。

ボツリヌス療法

攣縮している筋にボツリヌス毒素製剤を注射します。
ボツリヌス毒素製剤は神経筋接合部で神経終末に作用し、アセチルコリンの放出を抑制します。
これにより、アセチルコリンを介した筋収縮が阻害され、筋の攣縮および緊張を改善します。
この作用によって、片側顔面痙攣を抑制します。個人差はありますが、 通常1回の施注で約3~4ヵ月効果が持続します。

内服療法

向精神薬、抗てんかん薬などを内服する治療法があります。

手術

神経血管減圧術(JANNETTA手術)があります。
原因を取り除く根治的な手術の重要性は高いと考えられます。