認知症とは

認知症のイメージ写真

認知症とは、生後いったん正常に発達した種々の精神機能が慢性的に減退・消失することで日常生活・社会生活を営めない状態をいいます。

認知症の種類

認知症の原因は様々ですが、主に下記の4つの原因が挙げられます。

アルツハイマー型認知症

近年は全認知症で最も多いとされています。
原因は不明ですが病理学的な特徴とされる老人斑を構成するアミロイドβ(Aβ)にその原因を求める考えが主流になっています。
神経原線維変化を構成するリン酸化されたタウに注目する立場も有力です。女性に多いとされます。

レビー小体型認知症

レビー小体と呼ばれる神経細胞に発生する特殊なたんぱく質が脳幹に集中し、これによって脳の神経細胞が破壊されて減少することで発症する認知症です。
この場合、パーキンソン症候群の症状(手足の震え、筋肉が硬くなる など)も見られるようになります。

前頭側頭型認知症(ピック病)

前頭葉や側頭葉前方の部分が萎縮することで発症する認知症です。
原因は明らかになっていませんが脳の神経細胞内にあるとされるたんぱく質が関係しているのではないかとも言われています。
40~60代で発症することが多く、人の話を聞かない、過食、浪費、徘徊などの異常行動、人格変化などの症状が見られるようになります。

脳血管性認知症(脳血管型認知症)

主に脳血管疾患(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血 など)によって、脳血管が詰まる、破れるなどすることで脳細胞に十分な血液(酸素、栄養)が行き届かなくなって、脳の神経細胞が減少し、発症する認知症です。
この場合、血管が詰まっている部分など一部で認知機能障害がみられることから、まだら認知症のケースがよく見受けられます。

なお、スピロヘータ、ウイルス、プリオンなどの感染性因子により、神経細胞が傷害されて起こる認知症があります。
たとえば脳梅毒ともいわれる進行麻痺、エイズ脳症、狂牛病などです。

症状

どの認知症にも共通する症状は、中心的な記憶などの認知機能障害と、かつては辺縁症状と呼ばれた行動異常・精神症状に大別されます。
前者では、記憶障害(新しい情報を学習したり、以前に学習した情報を思い出したりする能力の障害)が基本になります。
それに失語、失行、失認、実行機能の障害も重要です。

記憶面

記憶力の中でもとくに記銘力障害、いい換えれば「さっきのことが思い出せない」ことが目立ちます。
たとえば「夫婦で会話中に電話が鳴ったので、奥さんがそれに対応して数分後に再び席についた。
そこで先刻の話題に戻ろうとしても、ご主人はその内容を思い出せなかった」というような例が典型です。
また、すでに冷蔵庫にたくさん入っている食品を繰り返して買うような記憶障害の現れ方も少なくありません。

失語、失行、失認

失語とは、言葉の理解ができないこと、しゃべりたい言葉がしゃべれないことです。
失行とは、運動機能に関する障害はないのに、意味のある動作、たとえば「やかんをコンロにかけてお湯をわかすこと」ができないような障害をいいます。
失認とは、感覚に関した機能は損なわれていないのに、対象を正しく認知・認識できないことです。
よくあるのは、方向感覚の悪さ、何度も行ったことのある娘の自宅を訪ねようとして道に迷うような例です。

遂行機能障害

計画をしてその準備をし、首尾よくこなしてゆく能力、いい換えると「段取り能力」のことを実行機能といいます。
そのような障害の典型例として、女性なら、料理のレパートリーが減り、限られたメニューを繰り返しつくる傾向がみられます。

認知症の精神症状・行動異常

多くの家族は、記憶など認知機能の障害ではなく、暴言・暴力、徘徊・行方不明、妄想などが問題になり受診のきっかけになります。
こうした問題は数カ月から数年にわたって持続し、在宅介護ができなくなる直接因になりがちです。
なお、それぞれの認知症性疾患には特徴的な症状があります。
たとえばレビー小体型認知症では特徴的な幻視や寝ぼけ症状、ピック病なら万引きなど反社会的などが特徴的です。

検査について

診察をし、検査が必要という場合は認知機能を調べる心理検査、血液検査(他の病気の可能性の有無を調べる)、頭部CTや頭部MRIといった画像検査によって診断をつけていきます。

治療について

認知症の治療法としては薬物療法と非薬物療法があります。

現時点での認知症の治療薬とは、基本的にアルツハイマー病に対するものです。
完治を目的としたものではなく、進行を遅らせる、あるいは周辺症状を改善するために使用していきます。
なお、脳血管障害の治療薬は多いのですが、脳血管性認知症自体を対象にする薬剤はありません。

アルツハイマー型では、神経伝達物質を増やすことで認知機能低下を改善させるコリンエステラーゼ阻害薬(ドネペジルなど)等を使用していきます。
レビー小体型認知症でも同様の薬が用いられるほか、パーキンソン病の症状があれば抗パーキンソン薬を用いていきます。
また前頭側頭型認知症の患者様は有効な治療法が確立されていませんが、異常行動などの症状が出ている場合に対症療法として抗精神薬を使用していきます。

脳血管性認知症の患者様では、脳血管障害を再発させると認知症を悪化させてしまうので再発防止のための薬物療法が行われます。
具体的には、高血圧、糖尿病など脳血管障害の原因とされる疾患で用いられる薬物療法になります。

非薬物療法は、全ての認知症患者様が対象となります。
これは、患者様にまだ残っているとされる認知機能などを薬物だけに頼らずに高めていくということが目的です。
内容としては、認知症患者様に家庭内での役割をつくって前向きに日常生活を過ごしてもらう、無理をしない程度に学習意欲を刺激し、計算ドリルや書物の書き取りなどをする認知リハビリテーション、自分や自分がいる環境を正しく理解していくための訓練(リアリティ・オリエンテーション)といったものです。